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国立科学博物館で学ぶ物理学 <ニュートン力学基本>

[概説] 回転座標系 極座標系 剛体の運動 オイラー方程式 [適用例] フーコーの振り子 トムソンリング 国立科学博物館で学ぶ物理学 ホーム

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[T] 回転座標系の運動方程式

(1)回転する座標系でのベクトル及びその微分

固定座標O(x,y,z)<これを絶対系という>のまわりを回転する座標O'(x*,y*,z*)<これを相対系という> を考える。それぞれの座標の単位ベクトルを(i,j,k)、(i*,j*,j*)とすると、任意のベクトルr はそれぞれの座標を 用いて、
     
回転座標がω(ω123)で回転しているとき、
     
であるとすると、右下図より容易に分かるように、次の関係が成り立つ。
     
     
     
これらの関係より、
     
     
     
従い、A=A(Ax,Ay,Az)=A(A*x,A*y,A*z)は、
     
また各成分の微分で表される微分係数dA/dt、dA*/dtを以下のように定義すると、dA/dt は絶対微分係数、dA*/dt は相対微分係数を表す。
     
そこで、(i*,j*,k*)で表されたAを微分すると、
     

この式に、上のdi*/dt,dj*/dt,dk*/dtの関係式を代入して整理すると、最終的に次の関係式を得る。

     
     



(2)回転する座標系での相対運動

右の図のように、位置関係が、
     
であるとき、上記の微分関係を用いると、絶対速度 v=vxi+vyj+vzk と相対速度v*=v*xi*+v*yj*+v*zk* の関係は、
     
また、絶対化速度a=axi+ayj+azk と相対加速度a*=a*xi*+a*yj*+a*zk*の関係は、次の式で表される。
     
この式には、コリオリの加速度、転位加速度と呼ばれるものが含まれる。

     コリオリの加速度 : 
     転位加速度     :  
     求心加速度     :  



(3)回転する座標系での質点の相対運動

一定のωで回転する座標系で運動する質点mの運動方程式は、dω/dt=0であるから、F=ma より、以下のようになる。

     


     慣性抵抗   : 
     コリオリの力 : 
     遠心力    :  


[U] 極座標系での運動方程式

(1)極座標系でのベクトル及びその微分

直角座標(x,y,z)と極座標(ρ,φ,θ)の関係は、
     
     
速度・加速度は、
     
        
        
        
     
        
        
        
球座標基本ベクトル(eρ,eφ,eθ)は、
     
     
     

以上の関係を用いて整理すると、位置(rρ,rφ,rθ)、速度v(vρ,vφ,vθ)および加速度a(aρ,aφ,aθ)は、 aρ=a(ax,ay,az)・eρ等として整理すると、

        

        

        
       
       

(2)極座標系での質点の運動

F(Fρ,Fφ,Fθ)、a(aρ,aφ,aθ) とすると、運動方程式は、

          

<参考> 振り子のように、糸の長さが一定として運動を解析するときは、ρ=一定(dρ/dt=0,d2ρ/dt2=0)、
     また、振動面不変 ie φ=0((dφ/dt=0,d2φ/dt2=0)であるから、Fρ=mgcosθ=T(張力)、
          Fθ=-mg sinθとすると、見慣れた振り子の運動方程式となる。
             
             

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[V]剛体の運動方程式

質点系の運動方程式は、F=maで表されるが、この式から、剛体の運動方程式が、

           

の式のように導かれることを説明しておこう。


空間に固定した座標系O(x,y,z)に関する剛体の重心Gの位置ベクトルをrGとし、剛体に固定した座標系O*(x*,y*,z*)に関する点Pの位置ベクトルを rとする。点PのOに関する位置ベクトルをRとし、剛体は点O*を中心としてωで回転するものとする。
微小部分dv(質量密度ρ)の運動方程式は、質点系の運動方程式が成り立ち、
     
ここに、Fは外力、Uは内力で、内力の総和は0(∫Udv=0)である。R=rG+rであるから 上の式を変形して、
     (*)
これを積分すると、M=∫ρdv、∫Udv=0であるから、
     
第2項は、
     
従い、剛体の運動方程式は、重心に質量が集中した質点の運動方程式として表される。

     

次に、dL/dt=ΣNを導こう。
前節[T](2)で示したように、v=ω×r+vG(Pは剛体内では動かないから相対速度v*=0)であるから、式(*)を変形して、
     
rとの外積をとり、積分すると
     
上に示したように、∫ρrdv=0であったから、
     (**)

ところで、角運動量L=∫ρr×(ω×r)dvを微分すると、
     
これに、v=ω×r+vGすなわちdr/dt=ω×r+drG/dtを代入して、
     
上に示したように、∫ρrdv=0であったから、
     
式(**)と比較して、固定点まわりの剛体の回転運動方程式が、次式のように導かれる。

     

このように、運動方程式はすべてF=maだけから導くことが出来る。

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[W]オイラーの運動方程式

オイラー角、オイラー方程式は「ジャイロホイール」に記載していますので、そちらを参照してください。


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