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装置の構成・動作を簡単に説明しましょう。1次コイル側には、電源としてコンデンサーが配置されており、交流電源によりコンデンサーは充電されます。手をたたいた時の音をマイクロフォンで電気信_号に変換し、 ある一定の強度以上の信号が出ると1次回路の接点が繋がり、1次コイルに電流が流れます。1次コイルに電流が流れると1次コイルは電磁石となります。この1次コイルの作る磁場を打ち消すように2次コイル すなわちアルミのリングに電流が流れます(これを電磁誘導といいます)。するとアルミのリングも電磁石となり、2つのコイルが反発する磁石となってアルミのリングが飛び上がることになります。
音の高さにより飛び上がる高さが違うのは、1次コイル側の抵抗を、音の周波数に応じて変化(可変とするか、並列抵抗を制御する)させる工夫がなされているからです(物理現象とjは無関係です)。1次コイル の抵抗を変化させると、流れる電流が変化し、従い電磁石の力が変化するので、飛び上がる高さが変わるのです。
電磁石という言葉で簡単に説明しましたが、もう少し丁寧に説明しましょう。右上図ではにコイルを流れる電流を赤色で、磁力線を青色(1次コイル起因)・緑色(2次コイル起因)、リングに働く力を黒色で示しています。
電源が乾電池のように電圧一定であれば1次コイルは電磁石となりますが、2次コイルには何の変化もありません(電磁誘導は発生しない)。電源が交流とか、トムソンリングのようにコンデンサーである場合は、電圧
が変化し、電流も変化しますので、電磁誘導により、2次コイルには反対方向の電流が発生し、2次コイルにもまた1次コイルと反対方向の磁力線が発生します。リングを飛び上がらせる原動力は、1次コイルの
作る磁場Bと、2次コイルに流れる電流I2であり、I2からB方向に捻るとき右ねじの進む方向に力が働きます(物理的にビオ・サバールの法則といい、
数学的にはF∝I2Bと表します)。図から分かるように、この力が、リングを内側に圧縮する力と、上側に持ち上げる力となります。
以上が、2つの電磁石が反発すると説明した内容です。補足すると、2つのコイルの電流は条件次第で絶えず方向を変えることになりますが、どちらの方向であれ逆方向であれば上向きの力となり、同じ方向のときは下向きの力と なります。すなわちアルミのリングは絶えず上向きに加速されているのではなく、減速を受ける瞬間もあるということです。当然コンデンサーに蓄えられたエネルギーが、電気抵抗による熱エネルギーで無くなると、重力の影響で落下する ことになります。
単純化モデル(1次コイル・リングとも円:線半径2&1mm、円半径5cm、コンデンサー2000μF/10V)での計算例を以下に示します。
リングは最初の数サイクルのみで加速され上昇します。1次コイルの抵抗を√2倍にすると高さは6割程度となります。
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、
I1、I2と鎖交する磁束Φ1、Φ2は、
電圧関係式は、R1I1=Q/C+ε1、R2I2=ε2であるから、
ところで、
被積分関数 1/{1-k cos(θ-φ}3/2は、テーラー展開するとk<1であるから収斂して、
従い、コイル1によるコイル2の半径方向位置bでの磁場Hは、
次に、点Qを通る円がコイル2の場合、この円形コイル(透磁率:μ)に働く力を求めよう。
円形リングの自己インダクタンスLも、形式的にはノイマンの公式で、a=b、z=0と置いて求められるはずであるが、k=1となってS1が収斂しない。
[X] トムソンリング運動解析
(1) 関連する物理法則
使用する式はMaxwellの方程式と実験式j=σE(V=IR)、ならびにNewtonの方程式と重力加速度gのみであるが、Maxwellの方程式から導かれる重要な方程式を以下に記す。
<ビオ・サバールの法則>
<磁場内の電流に働く力>
<ノイマンの公式>
(2) LCR回路
基本的な動作を、右のような簡単なモデル(電源:コンデンサー、リング&1重コイル、鉄心なし)で解析してみよう。
誘導起電力ε1、ε2は,
厳密には、dL1/dt≠0、dL1/dt≠0、dM/dt≠0であるが、ここでは等号が成り立つものと仮定しよう。
そのLaplace変換は、放電状態を」考えているからdQ/dt = -I であり、
この関係を元の方程式に代入して、
初期値 I10=I20=0、V0=Q0/Cとすると、簡単になり、以下のL[I1]、L[I2]の連立方程式を得る。
これを解くと、
であるから、逆Laplace変換L-1[1/(s-a)]=exp(at)を行えば I1、 I2が得られる。
α、β、γ は、3次方程式
の解であるから、ひとつは実数、他の2つは共役複素数で、
と置いて、オイラーの式 exp(±iθ)=cosθ ± i sinθ を用い整理すると、
(3) 円形コイル間の磁場および作用力
2つの円形コイルを右図のような円柱座標で表すと、円柱座標の基本ベクトル(er,eθ,ez)は、
であるから、任意の点R(x,y,z)は、
点P(a cosφ、a sinφ、0) と点Q(b cosθ、b sinθ、z) の距離rは、上式を参照して、
従って、
また、点Pにおける電流 I1の方向の微小部分をdl1とすると、
この2式を、ビオ・サバールの公式に代入して、
ここで、以下の積分公式
を使用すれば、積分範囲α=θ-φ=0〜2πに対し、m(=n)の奇数項は0となり、偶数項のみ残る(積分範囲より公式の4倍)から、
同様にして、前出被積分関数にcos(θ-φ)が掛かったものの積分は、上のテーラー展開にcos(θ-φ)が掛かったものであるから、
前出被積分関数にsin(θ-φ)が掛かったものの積分は、X=1-k cos(θ-φ)とおくと、α=θ-φ=0〜2πに対しX=X0〜X0ゆえ、0となる。
すなわち、円周方向の磁場は無く、半径方向erとz方向ezの磁場のみとなる。、
半径方向の磁場をHr、z方向の磁場をHz、x方向の磁場をHx、y方向の磁場をHyとすると、
この式でθ=0 として、H2=Hx2+Hz2、磁力線に沿った微小距離dsにつきds/H=dx/Hx=dz/Hzの方程式を解くと、右図のようなx-z面での磁力線を描くことが出来る。
点Qに働く力dFは、、コイル2の電流方向に微小部分dl2=dl2 eθ=b dθ eθを考えると、以下の公式を用い、
電流が同方向の場合は両コイルには吸引力が、半径方向には外向きの力が働くことが分かる、電流が逆向きのときは、反発力・内向き力が働く。
z方向の力Fzは、θ=0〜2πの範囲で積分して、以下のようになる。
<参考>ベクトルポテンシャルAを用いた磁場Hの導出
混同を避けるために前出の図で基本ベクトル(i,j,k)を(eρ,eθ,ez)とし、半径bを半径ρと置き換える。
ベクトルポテンシャルAは、
j=j sin(θ-φ)eρ+j cos(θ-φ)eθ、dV=S・dl=S・(a dφ)、jS=I (S:導体断面積)であるから、A=Aρeρ+Aθeθ+Azezとすると、
磁場H=Hρeρ+Hθeθ+Hzezは、このベクトルポテンシャルA(rotA=B=μH)を用いて、
この微分を実行すれば、上記記載の磁場が得られる。
(4) インダクタンス
2つの同軸円形リング1,2間(距離r)の相互インダクタンスMは、電流の方向の単位ベクトルをdl1、dl2として、ノイマンの公式より、
dl1・dl2=ab cos(θ-φ)dθdφであるから、
ここに、
リングa,bが同軸で接近(間隔d)している場合は、Mは次式で近似されるが、リングa,bが接触した状態を初期条件とするのでなければ上式そのままで良い。
そこで、半径aの円形リングの線半径がraの場合、raだけ小さい2つ目の円形リングとの相互インダクタンスが、半径aの円形リングの自己インダクタンスであると近似すると、
<注>線半径a、円環の半径Rの円環状導体の自己インダクタンスは、上記の近似相互インダクタンスを外部インダクタンスとみなし、
導体内部磁束密度による内部インダクタンスとの和として、以下の公式
があるが、この公式で得られるL1,L2では、漏れ磁束があるときの関係L1L2>M2を満足しないので適用しがたい。
(5) リングに働く力
リングa,bに流れる電流を、I1,I2とすると、中心方向に働く力Fは、
(6) リングの運動方程式
リングの質量をm、重力加速度をgとすると、
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