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国立科学博物館で学ぶ物理学 <色彩工学技法/波長と色表現>

[概説] XYZ表色系 ビデオ出力 [適用例] 偏光板とセロテープ 回折 国立科学博物館で学ぶ物理学 ホーム

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[T]CIE表色系 (CIE:国際照明委員会)

ほとんどの色は赤(R)・緑(G)・青(B)の光の混合で再現されます。実際の色とRGBの強度を調節した混色とを見比べ、等しくなるRGBの強度で色を表わします。 等色するために必要なRGBの強度を、「三刺激値R,G,B」といい、夫々の波長ごとに求めたものを等色関数といいます。

「CIE表色系」は、この「三刺激値R,G,B」をもととした「RGB表色系」から出発していますが、「三刺激値R,G,B」は、短波長側で、特に赤(R)刺激値がマイナス (実際の光側に赤を付加すること)となるため扱いにくく、光源の輝度を直接表現できないなどの難点があるため、新たに「三刺激値X,Y,Z」を導入した「XYZ表色系」 を定めました。

ここでは、「XYZ表色系」をベースに、パソコン上で、光のスペクトルから色を表現する方法について簡単に説明します。     

(1)XYZ表色系 等色関数

「XYZ表色系」では、X は赤の成分、Y は明るさ(輝度)を含む緑の成分、Z は青の成分を表しています。 CIEの定める「三刺激値X,Y,Z」(これらの値は数表として与えられています。色彩工学の専門書などに記載されています)を、等色関数としてグラフ化したものが左図です。

パソコンで扱うには、数表のデータが必要ですが、荒っぽい色表現で良しとするなら、以下のように、誤差関数で近似できないこともありません。
         
敢えて、数値を書くと、
         
         
         
この式での近似は、左図の破線で示しておきましたので、その近似の程度は明らかだと思います。


(2)XYZ表色系 色度座標

「CIE表色系」で色は3次元の色空間で表示されますが、この座標のことを色度座標(x、y、z)といいます。3次元では表示が困難なため、2次元に投影して表示します。この投影面を色相図(次節の図)といい、 図中の特定の位置の色を(x、y)座標で表します。

「三刺激値X,Y,Z」は等色関数を用いて計算します。波長を λ として、光のスペクトル(強度分布)をP(λ)、基準光のスペクトルをPw(λ )とすると、
         
         
         
但し、          

色度座標(x、y、z)と三刺激値X,Y,Zの関係は、
         
         
         
         
明度を加味した(Y,x,y)表示では、
         
         
         

(3)ビデオ出力

パソコンで色表示を行うには以下の手順で処理をする。

@ X,Y,Zの規格化 : X,Y,Z→Cx,Cx,Cx
         
         
         

        但し、A' の明度補正をするときは、この規格化を行わず、X,Y,Zをそのまま使用する。
A linear-RGBへの変換 : Cxyz(Cx,Cy,Cz)→CRGB(CR,CG,CB)
         
        但し、変換行列Aは、
         
A' 明度補正 : 白色光刺激値Y0として、
         
B ガンマ補正 :
         
         
         
C モニターRGB  ie sRGBへの変換 : R',G',B' → R,G,B
         
         
         

最後に得たR,G,Bをパソコンソフトのコードに埋め込めば、色の表示が行えます。

(3)ビデオ出力結果

以上の手順で処理した結果を、右図( 上 / 虹  、 下 / CIE色相図 ) に示します。

右上の図は、太陽光を、波長に対して完全に一定の強度であるとして計算した「虹」の色です。

右下の図は、色度座標(x、y)で表示した色相図で、下部を除く外縁は各波長単色光の色を表し、内部は混色の色を表します。
白色は(x,y)=(1/3,1/3)で表されています。
















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